学生ビザ申請におけるGS要件

2024年3月23日からGenuine Student requirement(GS)と言われる要件が導入されました。それまではGTE – Genuine Temporary Entrant「(帰国を前提とする)真剣で真面目な就学を目的とする一時滞在か否か」という要件でしたが、法改正に伴いGTEからGSに変更されたこととなります。

GS導入後、永住権取得を視野に入れた就学であることでも良くなったとされているものの、真剣で真面目な就学を目的とする学生ビザ申請であり、その他の理由による学生ビザ申請でないことを説明し、合理的かつ正当な理由による学生ビザ申請であることを認めてもらわなければいけません。どちらかというと一層厳しく審査されることとなったというのが現状かもしれません。

学生ビザを申請する際、以下の点についての説明を求められることとなります。

●申請が現在置かれている状況(家族、コミュニティ、雇用、経済状況を含む)

●なぜオーストラリアの特定の教育機関で特定のコースを就学したいのか、その就学およびオーストラリアでの生活に関する理解

●コース修了によってもたらされる利益

●その他関連する情報

移民局は申請者が提出する情報や証明書類、移民局が管理する渡航記録を基に以下のような状況を踏まえ、ビザ申請者がGS要件を満たしているかどうかを判断します。

母国における状況

●同様のコースが母国でも提供されている場合、その地で就学しない合理的な理由があるかどうか。

●母国とのつながり(家族、雇用、コミュニティなど)がどの程度あり、その状況が学生ビザ申請を行う重要な動機となるかどうか。

●申請者の経済状況が就学以外の目的での学生ビザ申請であるかどうか(母国とオーストラリアの経済面での比較)。

●母国での軍事服務義務を理由(就学以外の目的)とする学生ビザ申請であるかどうか

●母国での政治的および市民的不安(就学以外の目的)による学生ビザ申請であるかどうか

オーストラリアにおける潜在的な状況

●オーストラリアでの生活、就学を予定する教育機関およびコースに関してどの程度の知識を持っているのか。

●オーストラリアでの生活および就学コースについてどの程度リサーチを行ったのか。

●就学目的ではなく、継続的な滞在を維持するための学生ビザ申請かどうか。

●(パートナーや子どもを含める場合)学生ビザの取得を目的に、意図的に作りあげられた関係かどうか。

申請者の将来に対するコースの価値

●これまでの職歴や学歴と関連性のあるコースかどうか。

●キャリアチェンジを目的とする就学の場合、その動機が合理的かどうか。

●就学することで母国や他国での就職にどのように役立つのか。

●コースを修了することで期待される報酬がどのように異なるのか。

渡航歴

●オーストラリアその他国への渡航歴

●過去のオーストラリアその他国へのビザ申請について

●ビザ申請却下およびキャンセルについて

特に、オーストラリアに長期滞在していた方や、一通りの教育を受けて既に社会経験を積んでいる方、家族を含めた学生ビザ申請といった場合、就学以外の目的(就労や滞在を引き延ばすことが目的)によるビザ申請ではないか疑いの目をもって審査される傾向にあります。そのため、教育機関およびコース選択を慎重に行うことに加え、GS要件を説明するのに十分な情報および証明を提出できることが非常に重要です。

2024年7月1日からの法改正その2

オーストラリア政府は、特定のビザを保有している労働者の権利と生産性を向上させるために、ビザ条件8107、8607、および8608に重要な変更が加えられました。

施工開始日: 2024年7月1日**

対象ビザ

– 一時就労(技能)ビザ(サブクラス457)

– 一時技能不足ビザ(サブクラス482)

– 技能雇用主スポンサー地方(暫定)ビザ(サブクラス494)

主な変更点

就職移行期間の延長:

スポンサーとなる雇用主との雇用が終了したビザ保持者は、新しい雇用主を見つけるか、他のビザを申請するか、オーストラリアを出国するための手配をするための期間が延長されます。具体的には、

– 一度に最長180日間、または

– ビザの有効期間内で最大365日間

柔軟な就労:

移行期間中、ビザ保持者はスポンサー以外の他の雇用主のために働くことができ、関連するノミネーション申請における職種として選択されていない職業でも働くことができます。この変更により、ビザ保持者は新しいスポンサーやビザの手配をする間も雇用を維持するための柔軟性が提供されます。

スポンサーの通知:

スポンサーは、ビザ保持者の辞職やスポンサーシップの終了など、重要な変更があった場合、28日以内に当局に通知する必要があります。これにより、当局はビザ保持者の現在の雇用状況を常に把握することができます。

職業の一貫性:

ビザ保持者は、現在のスポンサーの下で働く間、指定された職種に留まらなければなりません。また、職種に関連する必要なライセンスや登録を守る必要があります。これにより、ビザ保持者がその分野の仕事で必要とされる専門的な技術基準を維持することが保証されます。

適用範囲:

これらの変更は、既存のビザ保持者と2024年7月1日以降にビザを取得する人の両方に適用されます。特に、2024年7月1日以前にスポンサーとの雇用を終了した期間は、新しい期間には含まれません。

これらの更新は、現在のオーストラリアの労働市場(労働力不足)を反映し、しかも特定のビザ保有者のビザ条件における重要な変化を意味し、ビザ保持者に対してより多くの柔軟性と安全性を提供する一方で、スポンサーがその義務を果たすことを確保することとなります。ご自身のビザがこの変更条件の適用範囲内であるかどうか等、ビザに関するご質問は当所まで。

2024年7月1日からの法改正

〔学生ビザ〕
既に規制されているビザに加え、以下のビザを保持する場合にはオーストラリア国内での学生ビザはできなくなります。
‐サブクラス485卒業ビザ(Temporary Graduate)
‐サブクラス600観光ビザ(Visitor)
‐サブクラス601電子渡航許可(ETA)
‐サブクラス602医療ビザ(Medical Treatment)
‐サブクラス651eビジタービザ(eVisitor)
‐サブクラス988船員ビザ(Maritime Crew)

〔就労ビザ〕
482、186、494といった就労ビザにおいて求められる最低給与額が$70,000から$73,150に引き上げられます。

〔卒業ビザ〕
最終調整中とされていますが、以下の変更が予定されています。
現在のストリーム、Graduate Work streamとPost-Study Work streamからPost-Vocational Education streamとPost-Higher Education Work streamに変更されます。年齢制限についても、香港および英国海外市民パスポート保持者、Masters (research)またはDoctoral degrees (PhD)卒業者を除き、50歳未満から35歳未満に変更されます。 Post-Vocational Education streamでの申請は18ヵ月のビザが発給されることとなり、Post-Higher Education Work streamについては2年(但し、Masters (research)およびDoctoral degrees (PhD)は3年)のビザが発給されることとなります。(香港および英国海外市民パスポート保持者は5年)

408パンデミックビザ終了

2023年8月31日、オーストラリア政府は408パンデミックビザの打ち切りを発表しました。

⇒ 現408ビザ保持者以外の申請締め切り:2023年9月1日

⇒ 現408ビザ保持者の再申請締め切り:2024年1月31日

現在408ビザを保持している場合、来年1月末日まで再申請は可能とされていますが、ビザ申請料$405が発生し、かつ、有効期間は6ヵ月のみとされています。

プレスリリース: Closure of the Pandemic Event visa

就労ビザ‐最低給与の引き上げ

現行$53,900から$70,000に引き上げ

会社スポンサーによる就労ビザでは、TSMIT – Temporary Skilled Migration Income Thresholdといわれる最低給与が設けられています。就労する地域において同じ職種で働く場合の平均的な給与はいくらなのか(または、スポンサー会社で同じ職種で働くオーストラリア人(または永住権保持者)が居る場合、その労働者の給与はいくらなのか)などを確認し、どちらか高い方の給与を支払うことが条件の一つになっています。

これまでのTSMITは$53,900(スーパーアニュエーションを除く)でしたが、2023年7月1日以降、$70,000に引き上げられます。

‐ 2023年6月30日までにノミネーション申請を完了している場合には、現行$53,900で良しとする
‐ 2023年6月30日までにノミネーション申請がおりている場合、ビザ申請が2023年7月1日以降であっても現行$53,900で良しとする



連邦予算案と移民政策

2022年3月29日に連邦議会にて来年度の政府予算の発表がありました。オーストラリア政府の計画するポストCOVID移民政策がはっきりと見える内容となっているようです。

移民受け入れ数

来年度の移民受け入れ数計画として16万人をターゲットとするという発表がありました。これは、過去2年2021年度(-89,000人)、そして2022年度の41,000人からかなりの増加であると言えます。そして、2025年度までには21,3000人にまで増やそうという計画です。

政治的理由から2020年度の時点で前年度の19万人から16万人に削減したという数年前と比べると、失業率4%の人手不足に悩まされているオーストラリア経済では移民の受け入れを促進する方向で動き出したようです。受け入れ数からも、コロナ前の状態にいち早く戻すことを検討していることになります。

経済回復優先

今年度の41,000人から来年度の16万人の受け入れ数増加の内容を見てみますと、増加分の70%がスキルビザ、すなわち何かしらの経済活動を伴うビザであることが分かります。特に独立スキルビザカテゴリーに関しては、今年度の6,500から16,652の発行数が振り当てられることから、1万人近くの申請者がその恩恵を受けることとなります。もちろん、これだけ見るとビザが取りやすくなるとも言えますが、スキルビザに関しては審査待ちの申請数も多いだけに、大半がその分の処理で消化されてしまうとも考えられます。しかしながら、オーストラリア政府が移民の受け入れ数増加を検討していく方向である以上、若くて高学歴でスキルを有する方にはますますチャンスであると考えられます。

経済回復の一環としてサブクラス403農業ビザと通称呼ばれる短期商業ビザの更なる活用、それから学生ビザとワーホリビザにおいては労働条件等の緩和や申請費用の返還等で、過去2年間コロナ渦で止まっていたオーストラリアへの呼び込みを続けています。海外からの若い肉体労働者がいなければ、第一次産業への働き手がいないということが露骨に浮き彫りになったオーストラリア経済においては、今後の経済回復を図るために重要不可欠なものとなります。

そのため、今後経済回復を基軸として、どのような移民政策が導入されるかが見ものです。

その反面、パートナービザを含めた家族移住に関しては受け入れ枠が3万人減となるため、改めて審査期間が長引いてしまうことが考えられます。

人道的救済措置

現時点ではウクライナでのロシアとの紛争に関して世界中の関心を集めています。オーストラリア政府は、今年度ならびに来年度に渡りウクライナ人救済措置として4000人のウクライナ人に3年間の救済ビザを発行すると発表していましたが、多くのウクライナ人がヨーロッパの国々に移住するのではということから、これ以上の救済措置は現時点では発表されませんでした。その代わりにアフガニスタン難民に対し、向こう4年間において16,500人の人道的救済措置ビザを発行することを発表しました。

408パンデミックビザ – 改正

コロナ渦の影響によって政府特別措置として受付されている408パンデミックビザですが、以下のように改正されることとなりました。

12ヶ月のビザ:
重要産業(農業、食品加工、ヘルスケア、高齢者ケア、障碍者ケア、チャイルドケア、ツーリズム、ホスピタリティー)で就労中または就労オファーを貰っている場合

6ヶ月のビザ:
重要産業以外で就労中または就労オファーを貰っている場合

対象者:
‐ 2022年2月21日前までの入国者;
‐ それ以降の入国者でビザ申請時に就労可能なビザを保持している場合;
‐ それ以降の入国者でビザ申請時に連邦政府支援の高齢者ケアサービスで就労オファーを貰っている場合

408パンデミックビザは、現在保持するビザが失効するまで90日を切っている、または、失効後28日以内の場合に申請が可能です。

このビザは政府特別措置によって一時的に導入されたビザで、オーストラリア経済復興を目的としており、適宜、見直し改正されていますので、常に最新の情報を確認するようにしてください。

オーストラリアへの入国制限解除について

2022年2月21日から規定のワクチン接種者を対象に、入国時の制限が解除されることとなります。これにより、観光や商目的、その他外国人訪問者を渡航免除を取得することなく、オーストラリアへの入国が可能になります。

渡航免除を取得する必要はなくなりますが、以下のような手続きが渡航前後に必要です。規制は常に見直されますので、最新情報を常に確認し、それに従うようにしてください。

参考: 移民局公式サイト

1.ワクチン接種証明
出入国時にワクチン接種証明の提示が必要です。日本でワクチン接種を完了している場合は、厚生労働省のリンクをご参考ください。

2. オーストラリア渡航申告書の提出
「Digital Passenger Declaration」というオンライン申告を出国から72時間前までに行う必要があります。DPD – Digital Passenger Declaration専用サイトからアカウントを作成し申告します。入国時に申告済みである証明の提示を求められる場合があります。申告していない場合、懲役または罰金最大$11,000が課せられます。

3. PCR検査証明
出国から3日以内に受けたPCR検査で陰性であること。(または、出国から24時間以内に医療従事者のもとで簡易検査キットで検査を受け、その証明書の提出ができること)

4. 入国都市(州・準州)ごとの隔離規制
入国する都市のある州・準州によって入国時の規制が設けられています。上記2とは別に入州前のオンライン渡航申告が必要な州・準州もありますのでご注意ください。

>> ニューサウスウェールズ州(シドニー)
>> ビクトリア州(メルボルン)
>> クイーンズランド州(ブリスベン、ゴールドコースト、ケアンズ)
>> 南オーストラリア州(アデレード)
>> 西オーストラリア州(パース)
>> タスマニア州(ホバート)
>> 北部準州(ダーウィン)
>> オーストラリア首都特別地域(キャンベラ)

卒業ビザに関する特別措置

コロナ渦の影響による特別措置が正式に発表されました。以下の条件に該当する場合、2022年9月30日まで有効の卒業ビザを申請することが可能になります。

COVID-19 Temporary Graduate replacement stream

‐ 2020年2月1日から2021年12月14日の期間のうち卒業ビザを保持しオーストラリア国外に居た場合
‐ 上記の期間、保持していた卒業ビザが失効した、または、2022年10月1日以前に失効していた場合
‐ 卒業ビザをキャンセルされていない場合
‐ ビザ申請料:$1,680

2022年中旬ごろから受付が開始されます。

入国制限緩和について

2021年12月1日より日本国籍保持者で以下の条件を満たす方に限り、入国制限が緩和されることとなりました。以下の条件を満たす場合、渡航制限免除の申請および取得は不要となります。

-日本のパスポートを保持していること
-オーストラリアのビザを保持していること
-規定のワクチン接種を終えていること
-日本からの直行便で入国すること
-日本出発までの3日以内にPCR検査を受けて陰性であること
-日本出発の72時間前までに渡航宣誓書を提出すること

オーストラリアへの入国はこの政策に加盟している州・準州に限られており、2021年11月22日時点において、NSW州、VIC州、ACT首都特別地域がそれにあたります。これら3つの州・特別地域では、規定のワクチン接種を終えている入国者に限り、14日間の隔離措置を免除するとしています。

参考:https://covid19.homeaffairs.gov.au/japan