オーストラリア地方地域における農業従事者不足の深刻化を一早く軽減すべく、オーストラリア政府はワーキングホリデーメーカービザプログラム(以下、ワーホリプログラム)の改正を2018年11月5日に発表しました。
現在、ワーホリプログラムには以下の2種類があります。
‐ Working Holiday visa (subclass 417)
‐ Work and Holiday visa (subclass 462)
462ワーク&ホリデービザは日本人には馴染みのないビザで、単にワーキングホリデービザを言い間違えているんじゃないかと思われがちですが、ワーホリプログラム加盟国の中でもどの国のパスポートを保持しているのかによって、申請できるサブクラスが変わります。日本のパスポートを保持している場合はサブクラス417ワーキングホリデービザであり、例えば、アルゼンチン、チリ、中国、ベトナムなど(計23か国)のパスポートを保持している場合はサブクラス462ワーク&ホリデービザなのです。いずれも一定期間の就労や就学は認められていますが、申請条件やセカンドビザ取得のための就労規制が異なります。
ワーホリプログラムの変更点
・2018年11月5日以降、462ワーク&ホリデービザ保持者がセカンドビザを取得するために従事できる農業の指定地域を拡大(これまではオーストラリア北部地域のみ)。
・2018年11月5日以降、462ワーク&ホリデービザならびに417ワーキングホリデービザ保持者が一つの雇用主のもと働ける期間を6ヵ月から12ヵ月に延長。但し、業種は農業であること。
・2019年7月1日以降、462または417のセカンドビザで6ヵ月間、指定地域において特定の就労を行った場合、3年目の462または417を申請できる権利が与えられる。
・462ビザの最大発給数を増加
・カナダまたはアイルランドのパスポート保持者に限り、417申請の年齢制限を35歳にあげる。
同一雇用主のもとでの就労について
一つの雇用主のもとで働ける期間は基本的に6ヵ月までとされていますが、オーストラリア北部地域における特定の業種については、6ヵ月以上の就労が認められています。
〔業種〕
高齢・障害者介護、農業、林業、漁業、建築、採掘、観光、ホスピタリティー
〔北部地域〕
ノーザンテリトリー全域、南回帰線以北のクイーンズランド州ならびに西オーストラリア州にある地域
また、例えば、ホテル、レストラン、州立医療施設、フランチャイズチェーンなど、同じ雇用主でも就労先の店舗や施設が2箇所以上ある場合、1箇所での就労が6ヵ月を越えなければ12ヵ月まで就労が可能です。
ワーホリメーカーにとっては正に朗報と言える知らせかもしれませんが、その反面、地方地域の労働者不足はワーホリの皆さんで補い、スポンサー付きのビザによる労働者不足の解消は現時点では考えていないということも言えそうです。来年に控える選挙を念頭に今後益々いろいろな動きが予想されるオーストラリアの移民政策です。