連邦予算案と移民政策

2022年3月29日に連邦議会にて来年度の政府予算の発表がありました。オーストラリア政府の計画するポストCOVID移民政策がはっきりと見える内容となっているようです。

移民受け入れ数

来年度の移民受け入れ数計画として16万人をターゲットとするという発表がありました。これは、過去2年2021年度(-89,000人)、そして2022年度の41,000人からかなりの増加であると言えます。そして、2025年度までには21,3000人にまで増やそうという計画です。

政治的理由から2020年度の時点で前年度の19万人から16万人に削減したという数年前と比べると、失業率4%の人手不足に悩まされているオーストラリア経済では移民の受け入れを促進する方向で動き出したようです。受け入れ数からも、コロナ前の状態にいち早く戻すことを検討していることになります。

経済回復優先

今年度の41,000人から来年度の16万人の受け入れ数増加の内容を見てみますと、増加分の70%がスキルビザ、すなわち何かしらの経済活動を伴うビザであることが分かります。特に独立スキルビザカテゴリーに関しては、今年度の6,500から16,652の発行数が振り当てられることから、1万人近くの申請者がその恩恵を受けることとなります。もちろん、これだけ見るとビザが取りやすくなるとも言えますが、スキルビザに関しては審査待ちの申請数も多いだけに、大半がその分の処理で消化されてしまうとも考えられます。しかしながら、オーストラリア政府が移民の受け入れ数増加を検討していく方向である以上、若くて高学歴でスキルを有する方にはますますチャンスであると考えられます。

経済回復の一環としてサブクラス403農業ビザと通称呼ばれる短期商業ビザの更なる活用、それから学生ビザとワーホリビザにおいては労働条件等の緩和や申請費用の返還等で、過去2年間コロナ渦で止まっていたオーストラリアへの呼び込みを続けています。海外からの若い肉体労働者がいなければ、第一次産業への働き手がいないということが露骨に浮き彫りになったオーストラリア経済においては、今後の経済回復を図るために重要不可欠なものとなります。

そのため、今後経済回復を基軸として、どのような移民政策が導入されるかが見ものです。

その反面、パートナービザを含めた家族移住に関しては受け入れ枠が3万人減となるため、改めて審査期間が長引いてしまうことが考えられます。

人道的救済措置

現時点ではウクライナでのロシアとの紛争に関して世界中の関心を集めています。オーストラリア政府は、今年度ならびに来年度に渡りウクライナ人救済措置として4000人のウクライナ人に3年間の救済ビザを発行すると発表していましたが、多くのウクライナ人がヨーロッパの国々に移住するのではということから、これ以上の救済措置は現時点では発表されませんでした。その代わりにアフガニスタン難民に対し、向こう4年間において16,500人の人道的救済措置ビザを発行することを発表しました。