ビジネス・ENS・RSMSビザ

2012年7月1日の改正により、事業家・投資家ビザの各種条件が変更となりました。そんな中、スキル移住による永住権取得が大変難しくなった現在、新たに注目を受けているのがサブクラス457のビジネスビザです。

基本的なアプローチとしましては、永住権申請を直接行うのではなく、サブクラス457ビジネスビザ(通常4年間)のビザをまず取得し、新事業を設立、運営し、その後事業の業績をもとに永住権の申請を行うというものです。一つとしては、それにより申請可能となる職種が格段に増えること、それから新事業を行う準備にとりかかる目処が立てやすいという点にあります。

そのため、ご紹介するビザとしては下記の3タイプのビザとなります。
・サブクラス457 ビジネスビザ
・サブクラス186 雇用主ノミネーションスキームビザ(ENS)ビザ
・サブクラス187 地域スポンサー移住スキームビザ(Regional Sponsored Migration Scheme – RSMS)ビザ

その他、投資家・事業主ビザという選択肢もありますが、そちらにも興味をお持ちの方は別途当事務所までご連絡ください。

このビザは上記サブクラス187ビザの限定地域版となります。そのため、このビザを申請するためにはブリスベン、ゴールドコースト、シドニー、ニューカッスル、ウロンゴング、メルボルン、パース以外の地域にて仕事に就くことが条件とされます。

このビザ取得には、以下の手続きが必要となります。また、直接申請する場合、雇用主は、地域指定団体(RCB: Regional Certifying Body)からノミネーション申請についてのアドバイスをもらわなければなりません。

RSMSビザ申請に必要な手続きは、以下のステップにて進めていくことになります。

step1地域指定団体による雇用主ノミネーション審査
step2雇用主によるノミネーション申請(直接RSMS申請のみ)
step3ビザ申請者によるビザ申請

※ノミネーション審査にて認可が取得できたら、その日より6ヶ月以内に申請をする必要があります。
また、承認された場合、移民局から雇用主へ指示があります。

step1地域指定団体による雇用主ノミネーション審査

移民局へ地域指定団体においてノミネーション申請の認可を受ける必要があります。雇用主として認可取得の必須条件は、申請方法によって異なります。以下、各条件について説明しております。

RSMS申請およびサブクラス457ビザからRSMSへの移行

  • 指定地域で合法的および活動的に運営している雇用主のビジネスにおいて人員が明白に必要であること。
  • 雇用者に対し、十分な職業トレーニングを実施している記録があること。新たに設立された新規事業の場合、十分な職業トレーニングの実施可能なフレームワークが証明できること。
  • 雇用主が移民法または労働法上、問題ない雇用主であったこと。
  • 雇用主ならびに会社役員に問題が認められないこと。
  • ノミネーションされている仕事は、最低2年以上のフルタイムでの雇用契約を伴うものである。
  • 申請されたポジションにおける労働条件は、オーストラリアの妥当な法律および審査等の下、提供されるものと同等であること。

RSMS直接申請における必要事項

ノミネーションされたポジションは、ANZSCOスキルレベル1または2の職種に分類されるものである
こと。

  • オーストラリア内における事業であること。
  • 同じ地方地域における永住権を持つ居住者、または市民権を持つ雇用者より適した人材が見つからないこと。
  • ノミネーションされた事業が行われている地域において、ノミネートされたポジションが存在していること。
  • ノミネーションの具体的な要求事項を満たすために、RCBが、ノミネーションの評価を行い、移民局のアドバイスを提供していること。

移民局がオーストラリア内での職種内容を遂行するための必要なスキル/資格のレベルを証明する際、
オーストラリア統計局により公表されているANZSCOを元に評価します。

step1
・ スキルレベル1および2の職種内容-通常、ディプロマまたはそれ以上の資格・学歴を必要とする。
・ スキルレベル3および4の職種内容は、ディプロマレベルまたは同等の資格・学歴を必要とせず、例外的に適用される規定の下、承認できるものに限られる。
・ スキルレベル5の職種内容は、常に形式的資格証明書を必要とせず、また、RSMS申請条件に必要とされない場合もある。

ANZSCOに資格等の証明が要求されない職種内容の場合、低技能職に該当する可能性があります。
スキルレベル3および4は、以下の職種グループに該当します。

グループ3 - 技術、貿易
グループ4 - コミュニティおよびパーソナルサービス
グループ5 - 事務職、行政事務
グループ6 - 販売
グループ7 - 機械オペレーター、ドライバー
グループ8 - 作業員

スキルレベル3から4以内の職種にノミネートしても、グループ3の技術職に該当しないその他の職種
は、例外措置の適応を承認すべき妥当な理由説明および詳細情報の提出をしなければなりません。

また、グループ3の技術職に該当しない場合、サブクラス457ビザおよびその職種における過去2年以上の職務経歴を有し、現在も同ポジションにて勤務している場合は例外適応措置が考慮されることもあります。

サブクラス457ビザからRSMSビザへの移行

  • ビザ申請者の身元の確認ができること(名前および生年月日)。
  • サブクラス457ビザの保持していること。
  • 職種内容がANZSCO中分類リストに含まれていること。また、サブクラス457ビザの保有期間にその職種に従事していること。
  • ノミネートされる申請者は過去3年以内に2年間以上、その職種において雇用され勤務していること。

地域指定団体による審査以外に、移民局により下記の点に関して審査がされます。

  • 雇用主が移民法または労働法上、問題ない雇用主であったこと。
  • 雇用主ならびに会社役員に問題が認められないこと。
  • オーストラリアの労働法に基づいてビザ申請者が雇用されること。

※ノミネーション審査にて認可が取得できたら、その日より6ヶ月以内に申請をする必要があります。
また、承認された場合、移民局から雇用主へ指示があります。

step2雇用主によるノミネーション申請(直接RSMS申請のみ)

まず、RSMSのもと、ノミネーションが承認できない場合、地域指定団体により審査されます。
雇用主は地域指定団体が要求する申請資料および関連した証明書を提出する必要があります。申請フォーム、または申請方法を特に進められない場合、雇用主はForm1404(Regional Sponsored Migration Scheme)を用います。

雇用主のビジネス拠点を管轄する地域指定団体により下記の点に関して審査がされます。

  • オーストラリアの低人口成長エリアまたは地方にて、合法的かつ活動的に経営しており、給料を支払って雇用を行う必要があるスタッフがいる。
  • 同じ地域および職種に携わるオーストラリア市民またはオーストラリア永住権者と同等の雇用条件、給与水準であること。
  • オーストラリア労働市場から適任者が見つからないこと。

地域指定団体の審査は、ノミネーションの申請前後に行われなければなりません。
申請に先だって3ヶ月以上前に審査を行うことはできません。
※移民局は、地域指定団体の審査基準と異なる審査基準によって評価します。したがって、地域指定団体から承認されたからといって、移民局に承認されるとは限りません。

step3ビザ申請者によるビザ申請

前述したように、ENSビザと同様、ビザ申請には3つの申請方法があります。各申請方法により異なる条件については、追加要求事項として記載しております。

  • (例外措置が適応される場合を除いて)申請時点において50歳以下であること。
  • 例外措置が適応される場合を除いて)実務レベルの英語能力を有すること。(サブクラス457ビザからRSMSビザへの移行の申請にはIELTSスコア5、直接申請および労働協定による申請にはIELTSスコア6が要求される)
  • ビザの申請者が保持しているべき必要なスキルの証明書およびライセンス、または、プロフェッショナルメンバーに登録されている場合、トレーニングは必要とされない。(各資格は、各関連する機関によって評価され、十分に条件に満たす必要がある。また、申請者は、それらの証明書を提出する必要があります。)
  • ノミネートされたポジションが利用可能であること。ノミネートされたビザ申請者はビザの申請書および雇用主の署名がある雇用契約の形式的書面証明を提示すること。
  • 申請者の家族を含む全員が、健康診断と人物検査でパスすること。すでにこれら診断等を受けている一時滞在ビザ保持者であっても、すべての場合において、健康診断と人物検査が要求される。

RSMS直接申請における追加要求事項

  • (例外措置が適応される場合を除いて)ビザ申請者は職種内容における必要資格を取得している必要がある

※海外で取得した資格および経験は、関連機関にてスキル評価する必要がある。

労働協定による申請における追加要求事項

  • 労働協定によって定められた必要とされる資格、スキル、その他申請者の性質等を有していること。
  • 労働協定によって定められた英語能力を有していること。

例外適用措置のカテゴリー

直接にENS/RSMSビザ申請、または、サブクラス457ビザからENS/RSMSビザへの移行申請ともに同じカテゴリーにおいて例外適用措置が認められます。2012年7月1日改正以降、例外適用措置はさらに厳しくなりました。年齢、英語能力、スキルの3つのカテゴリーで該当する例外適応措置の条件は以下になります。

<年齢>
年齢免除される場合には以下の要件があります。

  • オーストラリアの高等教育機関の上級研究者としてノミネートされていること。
  • オーストラリア政府エージェント(CSIRO、ANSTO)によって、科学者、研究者、技術スペシャリストとしてノミネーションされていること。
  • 宗教団体から司祭人としてノミネートされていること。
  • サブクラス457ビザからENS/RSMSビザへ移行申請の場合にて、過去4年間、サブクラス457ビザ保持者として雇用されており、その期間、フェアワーク・オーストラリア(FWA)に設定された高所得水準(現在118,100ドル)以上の収入を得ていること。

<スキル>
スキルにおける適応例外措置は、直接にENS/RSMSビザ申請方法のみ適応します。サブクラス457ビザからENS/RSMSビザへの移行申請者は、スキル評価されている必要がありません。サブクラス457ビザで費やした勤務時間に基づいて評価されると考られます。
スキルの条件が満たない場合、以下の条件を満たすば申請が可能です。

  • (ENSビザのみ)オーストラリアの高等教育機関の上級研究者としてノミネートされていること。
  • ENSビザのみ)オーストラリア政府エージェント(CSIRO、ANSTO)によって、科学者、研究者、技術スペシャリストとしてノミネーションされていること。
  • (ENSビザのみ)宗教団体から司祭人としてノミネートされていること。
  • オーストラリア税務局が公表する個人所得税額トップ階層(現在180,001ドル)にああたる所得を得ていること。
  • サブクラス444ビザ、サブクラス461ビザを保持し、ノミネートされる職種にて過去2年間、雇用され勤務していること。

<英語>
英語条件が満たない場合でも以下の条件をみたせば申請が可能です。

  • (ENSビザのみ)宗教団体から司祭人としてノミネートされていること。
  • オーストラリア税務局が公表する個人所得税額トップ階層(現在180,001ドル)にあたる所得を得ていること。
  • 一時滞在許可をとおして、高等教育機関/専門機関にて、5年以上のフルタイム過程を修了しており、すべての授業が英語で実施されたこと。
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